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5歳で出産した「史上最年少のママ」 ― 性早熟症の不思議

画像は「YouTube」より引用

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 ごくまれに耳にする10歳前後の女の子による出産。しかしそれよりも幼く、幼稚園に通う年齢の女児が子どもを産んでいたケースもあったのだ。それは、今から76年前にさかのぼる――。

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■5歳7カ月で男児を出産し世界一若い母親に

「Wereblog」によると、1933年にペルーのティクラポで生まれたリナ・メディナちゃんは、人形遊びが大好きな、ごく普通の女の子だった。しかし、ある日を境に彼女の人生は急展開してしまう。

 その日、彼女の両親は5歳の娘の腹が異様なくらいせり出してきていることに気づいた。「大きな腫瘍でもできてしまったのでは」と、大急ぎで病院へ担ぎ込んだはいいが、医者から告げられた言葉に仰天してしまう。なんと腹のでっぱりは腫瘍ではなく、妊娠7カ月というのだ。

 主治医となったジェラード・ロザーダ医師は、リナちゃんを首都リマの病院へ緊急搬送、24時間体制で彼女を看護することに。そして迎えた1939年5月14日、5歳と7カ月の幼女は帝王切開により男児を出産。こうして医学史上、世界一若い母親が誕生した。男の子は2,700gのごく標準的なベビーで、名前はロザーダ医師に因みジェラードと名付けられた。母子ともに健康で数日で退院したという。

 このニュースは当時、エドムンド・エスコメル博士により医学雑誌「La Presse Medicale」に発表され、医学界を震撼させた。そこには、リナちゃんは生後8カ月で初潮を迎え、2歳半で生殖器官の発達を、4歳で陰毛と乳房の発育を完了したことなどが記述されていた。5歳になる頃には腰回りも堂々としたものとなり、服の外からでも大人びたボディーラインが分かるようになっていたという。これは「性早熟症」と呼ばれるもので、帝王切開の際、これら生殖器官機能が十分に成熟していることを確認できたそうだ。また、この世界一幼い出産について、真偽を問う声も多かったが、胎児のX線写真やホルモン検査などを根拠に事実であることが確認されている。


■ジェラード君の父親は謎のまま

 ところで、ジェラード君の父親は誰かというと、いまだ謎となっている。5歳の幼女が妊娠となると暴行されたと考えるのが妥当だろう。一度、実父が容疑をかけられて逮捕されたが、証拠不十分で釈放されている。また、この父親を警察に通報したのは、ロザーダ医師とも言われている。

 なお、ジェラード君だが、母親のことは姉だと信じ込まされていたそうだが、10歳の時、学校で「オマエのねーちゃん、かーちゃん」と、からかわれたことで真相を知るところとなった。

 驚くべきことにメディナ一家はその後も、地元でごく普通の生活を営んでいたと聞く。リナちゃんも大きくなってからは病院に事務員として勤めながら学業を終え、また息子も高校まで出してやることができたそうだ。

 その後1972年、彼女が38歳の時にラウル・フラード氏と結婚、2人目の男の子が誕生。実に、33年ぶりの出産だった。しかし、その7年後、長男であるジェラード君は40歳という若さで骨髄を患い、この世を去ることに。ちなみに、この早逝と母親が幼くして出産したこととの因果関係は不明のままだ。

 さて、今年8月23日付の「Mumbai Mirror」の記事によると、リナさんは現在81歳で存命であることが確認されている。ちなみに、次男も存命だ。

 
 このケースは、かつてはギネスブックに「世界最年少で出産したひと」として記録されていたが、現在、その項目自体が削除されている。しかし、リナちゃんの世界記録はいまだに破られていない。数奇な運命に翻弄されたリナちゃんではあるが、残りの人生は穏やかに過ごしていただきたいと切に願うばかりだ。
(文=佐藤Kay)

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