消費不況の苦境にあえぐ百貨店で、お得意さまを囲い込むための「友の会」の会員が、これまで縁遠かった男性や若い世代を中心に急増している。月1万円を積み立てると、1年で13万円分の商品券が受け取れるという特典が、生活防衛意識を強める消費者に見直されている。
すずめの涙の超低金利が続く中、「高利回り」に注目が集まっていることも背景にあるようだ。 高島屋の友の会「ローズサークル」では、今期前半(3~8月)の新規会員数が前年同期比38%増の約8500人と、過去10年で最高の伸びを記録。うちほぼ半分を男性が占めた。
「創設から45年で延べ48万人が会員になったが、大半が40代以上の主婦で男性はわずか6%。こんなに男性が増えたのは初めて」と、飯島真理担当部長は驚きを隠さない。 新規の男性会員を対象に入会理由を調べたところ、「他の金融商品と比較して決めた」と回答した人が多かったという。
小田急百貨店では、4月に積立期間が半年のコースを新設したところ、半年の獲得目標1400人が2カ月で集まった。女性限定だが、「若い人は早くリターンを手にしたいはず」との思惑通り、入会者の半分以上を20~40代が占めた。
阪急百貨店でも、今年に入り新規会員が毎月5%程度増えており、担当者は「傘下のスーパーで日常の買い物に使えることが、デフレ不況の中で支持されているのでは」と話す。 友の会は、1年間の積み立てで1カ月分の積立金分がプラスされる仕組み。最大5万円の積み立ても可能で、1年で65万円になり、利回りは年8・3%に達する。
商品券は磁気カード式で金券ショップで換金はできないが、年0・04%程度の大手銀行の定期預金に比べるとはるかに魅力的だ。 百貨店業界は、8月の全国売上高が30カ月連続の前年割れとなるなど、どん底状態。友の会は、西武百貨店やそごうがすでに廃止するなど負担も重いが、「専門店などに流れた顧客が戻ってくるきっかけになれば」(大手)と、最近の人気に期待を寄せている。
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